2014年8月に起こった広島市土砂災害、また、2018年7月に起きた西日本豪雨災害、さらには2021年8月11日からの豪雨における災害において、お亡くなりになられた方々、被災された方々に改めましてお悔やみとお見舞いを申し上げます。
この災害に当たっては、私もボランティアの派遣側として活動を行いました。
その中で一番感じたのは、失われずに済んだかもしれない命が失われてしまったということです。
砂防堰堤等のハード面の整備・定期的なメンテナンスはもちろんですが、地域のつながりや情報伝達などのソフト面の強化も重要です。いかに危険を速やかに伝達し、安全な避難につなげるか。まだまだやれることは多くあると考えます。
〇2021年8月11日から降り続く豪雨における災害
梅雨前線の停滞により多くの場所で災害被害が発生しました。また、今回の土砂崩れ等により、砂防堰堤に堆積している土砂がいっぱいになっている堰堤が数か所確認されています。今後もいつゲリラ豪雨などが発生するかわからない状況ですので、早期に対策を講じなければなりません。国交省等への要請に加え、被災者への金銭的な部分も含めた支援を行政として実施するよう要望しています。
〇豪雨による浸水被害
この現場は豪雨発生時に林道が川状態になり、側溝も役目を果たさず、従来流れるべき方向に流れないため、家屋の方に雨水が流れ込み浸水被害が出る現場です。
側溝の機能を強化し、家屋方向に流入する雨水を阻止するため、現在の側溝の暗渠部を掘削等施行し、グレーチング(網目)で蓋をすれば、現在の流れを変化させることができる旨、行政へ要望し、現在対応を検討中です。
〇砂防堰堤がいっぱいになり岩・石が豪雨により流出、用水路のキャパを超えて冠水
昨今の豪雨によりいつ災害が発生してもおかしくない状況が続いているので、多くの方の意識が集まり、たくさんの声や要望を頂くようになりました。
個々に対応が異なることもあり、一つ一つ現場確認をし、行政や地域の皆さんと話をし対応を検討し改善に向け対応しています。
下の写真の場所は、山が岩山なので、土や岩などで砂防堰堤がいっぱいになり、豪雨により岩が家屋エリアに流れてくること、また、用水路のキャパが昨今の豪雨に対応できず、冠水被害が出ているとのことで、行政とも現場確認を行いました。
砂防堰堤にも種類があり、砂防堰堤に溜まった土砂を掘削する堰堤もあれば、土砂等がたまれば奥に新たに堰堤を設置するものもあります。この場所は新たに堰堤を設置する方式の所だそうで行政と用水路の拡張等も含めて検討しています。
〇災害発生時の情報伝達システム
情報伝達が正確にスピーディーに地域に届き、地域の町内会や自治会、社会福祉協議会など地域コミュニティの連携がより強ければ、その命が救えたかもしれない。そう思うと、行政に働きかけ、より良いシステムの導入が必要不可欠であると考えます。
広島市ではこれまで、災害などの情報伝達はテレビやラジオ、町内会長の自宅に備える防災無線、地域の街頭に設置する防災スピーカーくらいしかありませんでした。
現在は、2020年1月30日の中国新聞の1面にも載っていましたが、上記の様に防災メールをより地域に近い単位で情報発信するようになっています。
しかしながら、これは避難ツールの一つであり、その他をカバーできるツールではありません。
災害現場において地域の皆さんと復旧作業の調整をしていると
「災害ごみの処理はどのようにすればよいのか?」「床下などに流入した土砂の撤去の費用負担は?」「行政はどこまでやってくれるのか?」などについて、色々なところから入ってくる情報が錯そうしている状況でした。
その様々な出所の情報を一つ一つ整理をしながらできる限り無駄が生じないよう調整をし、復旧作業に取り組みました。
正確な情報を災害現場に早く届けるにはどうすればよいのか。。。
情報伝達ルートの一本化が必要だと考えます。広島市危機管理室・課の整備を行い、消防・警察・インフラ等と「危機管理センター(仮称)」において情報共有および対応策などを判断し、情報を伝達するというようなシステムの構築が必要だと考えています。
地域の皆さんの声では、上記の対応方法への疑問の声をはじめ、公共交通機関への情報伝達に関するご指摘もいただきました。
公共交通機関を利用する方も、運営する方(運転手の方など)もすべての方の大切な命を守るため、システムの構築を行わなければならないと考えます。
【広島市災害廃棄物処理計画】
https://www.city.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/146346_170498_misc.pdf
【広島市防災情報サイト】
https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/saigaiinfo/159734.html
〇一時避難場所の整備
災害発生時に緊急避難場所として利用される拠点として小学校などの公共施設が多く設定されています。2018年7月の豪雨災害においても何度か開放し、地域の皆さんが避難できる状況を確保しました。ご意見をいただいた地域では、図工室が避難場所となっており、そこには、「ラジオやテレビなどのメディア機器がなく情報を得る手段が備わっていない。」「床は板張りで、長時間滞在することを想定するとつらい空間である。」「wiーfiなどのネット環境の整備が必要である。」「水防倉庫が1Fにあり、水没する可能性がある。」などの問題点をご指摘頂きました。この状況というのは、他の場所でも大いに可能性があり、いつ災害が起こってもおかしくない今の現状では、まず、早急な設備の点検・整備が急務であると考えます。設備の必須項目を見直し、避難場所としてより機能を発揮できるよう取り組みを進めるべきです。
〇ハザードマップ
各地域で防災の観点からハザードマップを多くの地域で、そこに住んでいる皆さんが協力し作成されているところが多いと思います。
県や市のホームページでもハザードマップ(土砂災害・洪水・浸水)を見ることができますが、地域で自主的に作成しているハザードマップは、緊急時に避難できる場所(マンションなどに許可を得ていて実際に避難できるか確認している)やAEDの設置場所など、災害発生時に有益な情報が多く詰まっています。
県や市が作成しているハザードマップと地域が自主的に作成しているハザードマップを組み合わせるべきだと私は考えています。
しかし、災害はいつ発生するかわからず、各地域の皆さんが自分の地域の分をペーパーベースで持っていてもいざという時に十二分に力を発揮しないと思います。
なぜか…?
「災害発生時に何処で何をしているのか分からない。家にいるとは限らない。」
「災害の種類によって避難場所が変わってくる可能性がある。」
「行政が作成したハザードマップには公共施設の避難所しかなく、地域の皆さんで作成したハザードマップ(近くのマンションなども載っている)は自分の地域以外は持っていない」
からです。
有益な情報が多く詰まったマップを有効に一人でも多くの命を救うためにどのように活用すればよいのか。私は、その行政と地域がそれぞれ作成したマップをスマートフォンのアプリなどですべての地域のハザードマップを集約し、どの地域にいたとしても誰もが見ることができる仕組みを作るべきだと考えます。これは、広島市や広島県だけでは意味がなく、最終的には各地域が連携し国全体で取り組むべきだと考えています。
情報をすべて集約できれば、「現在地からどこに避難するのがベストなのか」など瞬時に判断することができ、より多くの命を救うことができると思います。
令和2年6月から「広島市避難誘導アプリ『避難所へGO!』」の配信が開始されました。このアプリは「広島市が開設した避難所」など広島市の情報が盛り込まれたものです。
私が考える今後の課題は、
①「広島市に限定するのではなく広島県、さらには国に範囲を広げる」
②「地域が作成したハザードマップをタイムリーに反映させる」
③アプリの利便性向上
ということです。
まず、①「広島市に限定するのではなく広島県、さらには国に範囲を広げる」についてですが、災害発生時に市民の皆さんが広島市にいるとは限らず、どこで被災されるかわからないと思います。その中で市民の命を守ることが目的なのであれば広島県さらには国に範囲を広げ、いつどこにいてもこのアプリが効果を発揮し、一人でも多くの命を救える環境整備をするべきだと考えます。
また、②「地域が作成したハザードマップをタイムリーに反映させる」についてですが、上記でも記載しましたが、地域の皆さんが自分の地域を歩き地域の情報を盛り込んだハザードマップには、行政などが設置した避難所だけでなく、緊急時に避難できる場所(マンションなどに許可を得ていて実際に避難できるか確認している)やAEDの設置場所など、災害発生時に有益な情報が多く詰まっています。その情報を盛り込むことで、行政が設置した避難場所よりさらに近い避難場所に避難することができるようになります。
③「アプリの利便性向上」については、今後利用していくにあたり様々な不具合等が発見されると思います。そのことについて改善をしっかり行うことは言うまでもなく必要です。
このアプリは現在広島市の行政情報がメインとなっていますが、今後さらにバージョンアップさせると同時に、範囲を拡大していくことが重要だと考えます。
私もこのアプリは自分も要望していたことであり、とても良い対策だと思います。しかし、地域の皆さんがアプリを自分のスマートフォンにダウンロードしないと何の意味もなさないので、私自身も普及に向けて活動していきます。
【避難所へGO!ダウンロードページ】
https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/saigaiinfo/138186.html
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